リーマンショックから6年が経過しました。
金融ビジネスに携わる者にとって忘れる事のできないクライシス。
あらためてあの出来事が何に起因し、何をもたらしたのか考える機会がありました。
その実態を追求したドキュメンタリー「INSIDE JOB 世界不況の知られざる真実」
2008年9月、投資銀行リーマンブラザーズ破綻で幕を開けたリーマンショック。
その後メリルリンチの身売り、世界最大級の保険会社AIGの経営破綻が続き
全世界で被害総額10兆ドル規模の金融クライシスとなった。
金融業界の金銭欲が生みだした不動産バブルは、驚くばかりの裏事情がある。
金融マンが豊かになりだした1980年代、経済成長を最優先したレーガン政権は
金融業界と密接な関係を築いた。ウォール街政権の始まりだ。
1990年代、合併により巨大化した投資銀行は強力なロビー活動によって
政治的影響力を強めていった結果、規制緩和と金融機関主導の法的整備のもと
金融工学によってデリバティブを生む。
利益最優先体質の金融機関にとってデリバティブの収益は大変魅力的であり、
投資銀行を中心に暴走を始め、2000年以降もデリバティブは爆発的に増えていく。
ゴールドマンサックス、リーマンブラザーズといった投資銀行、
シティグループ、JPモルガンのような金融複合企業、保険会社AIG、MBIA、AMBAC、
格付け機関ムーディーズ、スタンダード&プアーズまでも巻き込んだ連携プレーは、
証券化という手法でCDOを世界中に拡散させた。
大量のサブプライムローンが組み込まれたCDOの格付けはAAA。
機関投資家は最高評価のCDOを好んで購入した。
危険を含んだ目先の利益に巨額ボーナスを支払うという歪んだ報酬体系により、
リーマンブラザーズCEOは500億円のボーナスを手にする。
CDOを保有する投資家の損失補填をするCDSがAIGから販売されると
金融マン達は高額な報酬を得るためにより大きなリスクをとってCDOを売りまくり
リーマンもゴールドマンもCDSを買いまくる。
それが後々社会や金融システムを滅ぼすものであっても私欲優先だ。
AIG子会社CEOも300億円以上のボーナスを手にしている。
金融トップ達はパークアベニューの高級ペントハウスの他に家を5軒持ち、
プライベートジェットも欲しがった。
神経科学者の実験で脳の観察をすると、
お金を得て反応する箇所と麻薬の刺激で反応する箇所は同じらしい。
こんな詐欺まがいな事件を起こしてもたった一人の逮捕者もでない。
世界を経済危機に陥れたその主役達への高額報酬は今でも続き、権力の座にいる。
アメリカ経済の主役がものづくりから金融サービスへと変換し、
業界トップ達が暴利を貪った結果、全世界の多くの人々が財産をなくし、
回復へ多額の税金が投入された事実は忘れてはならない。
合わせて「キャピタリズム」もおすすめします。金融関係者は一見の価値ありです。